この記事を読んでわかること
- テニスの4大大会とは何なのか(テニスに詳しくない人向け)
- 各大会のそれぞれの特徴や違い
今回はテニスの四大大会(グランドスラム)について紹介します。
最近では錦織選手や大坂選手などの活躍により日本でもテニス視聴者が増加しつつありますが、プロのテニスの世界のことを詳しく知らない方も多いのではないかと思います。そのような最近テニスを見始めた方向けに、テニスの四大大会について紹介します。
なお、テニスの四大大会はWOWOWに加入することで、ご自宅のテレビやスマートフォンなどで視聴できるようになります。興味のある方はそちらもご確認ください。
四大大会とは
テニスの四大大会は別名グランドスラムとも呼ばれており、プロのテニスにおける最も大きい四つの大会を指します。テニスの大会にはそれぞれ大会グレードという大会のランクが決められていますが、四大大会は男女ともに最も高いランクの大会となります。
大会の規模も大きく、参加選手は男女ともにシングルス128名、ダブルス64組となり、大会期間も2週間と他の大会よりも長くなります。また、男子シングルスは四大大会のみ全試合5セットマッチになることも大きな特徴です。
概要
四大大会は具体的には以下の大会です。
大会名 | 開催期間 | 開催場所(国/都市) | サーフェス |
全豪オープン | 1月3週~4週 | オーストラリア/メルボルン | ハード |
全仏オープン | 5月4週~6月1週 | フランス/パリ | クレー |
ウィンブルドン | 6月4週~7月1週 | イギリス/ロンドン | 芝(グラス) |
全米オープン | 8月4週~9月1週 | アメリカ/ニューヨーク | ハード |
優勝賞金や世界ランキングに関係する獲得ポイントも最も大きいことから上位の選手が全員出場することはもちろん、全員が四大大会で優勝できるようにコンディションを調節してくる大会です。そのため、ハイレベルな試合が繰り広げられ、ファンとしては最も見ごたえのある試合となります。
プロの選手にとっても4大大会での優勝は一つの大きな目標なのです。もちろん錦織圭も優勝を目指しています。
獲得ポイント
四大大会での獲得ポイントはこちらのようになっています(全大会共通で以下のポイントが設定されています)。男子と女子でポイントを管轄する組織が異なるため(ATP /WTA)、獲得できるポイントは微妙に異なっています。
成績 | 男子 | 女子 |
優勝 | 2000 | 2000 |
準優勝 | 1200 | 1300 |
ベスト4 | 720 | 780 |
ベスト8 | 360 | 430 |
ベスト16(4回戦) | 180 | 240 |
ベスト32(3回戦) | 90 | 130 |
ベスト64(2回戦) | 45 | 70 |
ベスト128(1回戦) | 10 | 10 |
ポイントは男女共にツアー全大会の中で最も高く設定されています。優勝者に与えられる2000ポイントとはランキングでいうと大体TOP20位に入れるくらいのポイントになります。
賞金
四大大会を含むテニスの大会はここ最近賞金額が増額する傾向にあるため、毎年賞金額は異なっています。2019年の賞金を以下に示しますが、2020年以降はさらに増額されることが予想されます。
大会 | 賞金総額 | 優勝賞金(シングルス) |
全豪オープン | 6250万豪ドル(=約46億6900万円) | 410万豪ドル(=約3億600万円) |
全仏オープン | 4266万ユーロ(=約51億5800万円) | 230万ユール(=約2億7800万円) |
ウィンブルドン | 3800万ポンド(=約54億5300万円) | 235万ポンド(=約3億3700万円) |
全米オープン | 5700万ドル (=約61億9000万円) | 385万ドル (=約4億1800万円) |
この賞金金額は他の大会と比較しても破格の金額となっています。ポイント・賞金と最も高く設定されていることからもTOP選手が全員優勝を本気で狙ってくる大会となっているのです。
その他
一人の選手がキャリア中にすべての四大大会で優勝することを「生涯グランドスラム」といい、同一年ですべての四大大会を優勝することを「年間グランドスラム」と呼んだりもします。
生涯グランドスラムは男子では現在8名が達成しており、現役選手ではロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチのBIG4のうち3名。
女子では現在10名が達成しており、現役選手ではセレナ・ウィリアムズ、マリア・シャラポアの2名です(シャラポワは2020年の2月に引退を表明しました)。年間グランドスラムは現役選手では誰も達成したことのない最難関の称号となっています。
-
【テニス】BIG4(ビッグ4)の強さの秘訣とは(特徴を解説)
今回は男子テニス界に君臨し続ける「BIG4」について紹介します。 現在の男子テニス界はこのBIG4を中心に回っており、全選手にとって大きな壁として常に立ちはだかっています。BIG4が成し遂げた数々の記 ...
続きを見る
各四大大会にもそれぞれ大きな特徴があり、その違いを知るとより試合を見るのが楽しくなると思います。
以下でそれぞれ詳しく説明します。
全豪オープン
最も暑い戦い
1月に開催される全豪オープンはシーズン最初の大きな大会です。その特徴はなんと言ってもその暑さにあります。オーストラリア開催のため1月は真夏であり、気温が35℃を超えることも日常です。その暑さに負けてリアイアせざるを得ない選手が毎年でるほど過酷な大会となっています。
真逆の時差・気候に適応できるか
ヨーロッパの選手から見るとオーストラリアは地球の反対側に位置するため、気候の他にも時差への適用が必要となります。前哨戦もオーストラリアで何大会か開催されており、そこに出場してコンディションを調節する選手も毎年多くいます。
コートも通路もすべて青一色
大会のカラーは青に統一されており、コートや会場内の通路や建物などは青を基調とした作りとなっています。コートのサーフェスはハードコートで、最もオーソドックスなコートであるといえます。誰にでも優勝のチャンスがあるコートともいえるかもしれません。
オールラウンドなプレーが求められるので、割と上位の選手がしっかりと勝ち上がってくる印象があります。あまり番狂わせが起きにくい大会であると思います。(もちろん予想外の結果になることもありますが)
日本では最も都合の良い時間に放送
日本との時差が2時間と小さく、日本からテレビで視聴する場合は最も放送時間がちょうどよい大会でもあります。例えば決勝は現地の19時半から開始されることが多いので、日本時間の17時半から放送されることになります。
全豪オープンの特徴
- 1月にオーストラリアで開催
- 真夏の開催で、暑さとの戦いになる
- ハードコートでの開催で、あまり番狂わせが起きにくい
- 日本との時差が2時間と小さく、テレビで観戦しやすい
なお、全豪オープンを実際に観戦したときの内容を別記事にまとめていますので、更に詳しく知りたい方はそちらもぜひご参照ください。
-
【テニス】全豪オープン観戦記(ブログ)
今回は、テニスの四大大会の一つ全豪オープン(オーストラリアンオープン)を観戦してきたことに関して記事にしたいと思います。これから全豪オープンを観戦しに行かれる方には参考になる内容がありますのでぜひご確 ...
続きを見る
-
【全豪オープン2021】観戦チケットのお得な買い方(オススメ購入方法)
この記事を読んでわかること 全豪オープンの観戦チケットの購入方法一覧 それぞれの購入方法のメリット、デメリット チケットの種類 今回は、全豪オープンの観戦チケ ...
続きを見る
全仏オープン
何が何でもフランス語
全仏オープンは5月末~6月にかけて開催されます。大会の特徴はまず審判のコールがすべてフランス語という点でしょう。フランスの文化を尊重する風習らしく、選手も優勝後のスピーチではフランス語を混ぜることも多くあります。
一方、フランスの応援は激しいことでも有名で、野次やブーイングなどが浴びせられることもしばしばあります。それらが試合の展開を大きく狂わせた場面も多く、観客をどう味方につけるかも選手には求められる大会です。
クレーコーターが躍進
サーフェスは唯一のクレーコートであり、4月から始まるクレーコートシーズンの最後の試合となっています。クレーコートはボールが高く跳ねやすく球足が遅いため、ラリーが続きやすいことが大きな特徴です。そのためディフェンスに優れた選手が活躍しやすく、逆にビッグサーバーや攻撃型の選手は不得意とするコートでもあります。
クレーコーターと呼ばれるクレーコートになるとやたらと強くなる選手が一定数おり、その選手たちが一年で最も輝く大会と言えるでしょう。そのため、全仏オープンは世界ランキング通りの試合結果とならないことも多く、クレーコーターが格上を倒すこともしばしばあります。
近年はナダルが無敵状態
クレーコーターの代表格はラファエル・ナダルでしょう。彼はもちろん他のコートでも優勝できるくらいTOPの実力を持ちますが、クレーコートになるとその強さはさらに跳ね上がります。全仏オープンは現在12回の優勝と他の追随を許さない圧倒的な戦績を誇る無敵の存在です。彼のスピンの多いストロークとディフェンス力はクレーコートとの相性抜群であり、現状では誰も打ち破ることができていません。
また、最近ではドミニク・ティームもクレーコートで好成績を残しており、今後の活躍が注目されます。彼もまた、スピン量の多いサーブとストロークを武器としています。
日本からも比較的視聴しやすい時間帯
パリと日本の時差は7時間ですので、デイセッションの試合は日本でも夜の時間帯にに観戦することができます。決勝は毎年日本時間の22時から開始されています。
全仏オープンの特徴
- 5月~6月にフランスのパリで開催
- クレーコートのため、ディフェンス型の選手が有利
- 現在ではナダルが無双状態
- 日本との時差は7時間なので、夜テレビで観戦できる
-
【全仏オープン2020】観戦チケットの買い方を解説(オススメ購入方法紹介)
注意ポイント 全仏オープンテニス2020はコロナウィルスの影響で、大会日程が9月27日〜10月11日に変更となりました 注意ポイント 新型コロナウィルスの感染に対して全仏オープンは観客に ...
続きを見る
ウィンブルドン
最も格式高い大会
ウィンブルドンはテニスの発祥地イギリスで開催される歴史ある由緒正しき大会です。6月~7月にかけてイギリスロンドンで開催されており、四大大会の中でも最も格が高い大会とされています。
唯一の天然芝コート
特徴はまず唯一芝のコートで開催される大会であること、しかもウィンブルドンは天然の芝を使用しています。そのため、大会が進むにつれてコート上の芝はどんどん傷んでいき、決勝戦を迎える頃にはベースライン付近はほとんどはげてしまっているというのがおなじみの光景となっています。
また、天然芝のコートのためその土台には柔らかい土を使用しなければならず、ネットを強く張ることができません。そのため、ウィンブルドンはネットのテンションが低めに設定されており、ネットインが起こりやすいコートにもなっています。
白のウェアが必須
他にも独特のルールとして、テニスウェアに対しての規定が厳しく、男女関係なく上下ともに白を基調としたウェアでなければなりません。これは試合に限らず練習ウェアにも適用されます。1884年の女子シングルス初代優勝がそうしていたことに由来しており、100年以上の伝統として受け継がれているそうです。
天気の影響が試合を大きく変えることも
ロンドンの天気は非常に変わりやすいことで有名で、試合中に突然雨が降りはじめ中断することもしばしばあります。この雨が試合の流れを大きく変えてしまうことも頻繁に起こります。(2009年にセンターコートには開閉式の屋根が建設されました。)最後まで気の抜けない大会とも言えると思います。
番狂わせが最も起きやすい大会
芝のコートは球足が早くかつボールが跳ねにくいので、エースを取りやすく攻撃型の選手が有利とされています。ビッグサーバーやサーブ&ボレーヤーなどのタイプの選手が最も輝けるサーフェスです。
また、全仏オープンから間の期間が3週間と短く、かつクレートは真逆の特性を持つサーフェスでの大会のため、全仏で最後まで勝ち上がった選手が芝のコートにアジャストできずに、ウィンブルドンで早期敗退するというケースも頻繁に起こります。同一年の全仏とウィンブルドンを両方優勝するのは至難の技といえるでしょう。
攻撃型の選手や、その日調子の良い選手などがひたすら攻撃をし続けると、TOPプレーヤーでも守り切ることが難しく、番狂わせが最も起きやすい大会であると思います。実際にBIG3のジョコビッチ・ナダル・フェデラーが早期敗退を喫したこともあります。
NHKも唯一放送
なお、ロンドンと日本の時差は8時間ですが、決勝は毎年日本時間の夜22時から開始されています。唯一NHKも放送してくれるので、WOWOWに加入していない方も見ることができます。
ウィンブルドンの特徴
- 6月末~7月にイギリスロンドンで開催
- 唯一の芝のコートでの大会で、攻撃型の選手が有利
- 番狂わせが最も起きやすいコート
- 日本との時差は8時間で、夜テレビで観戦できる
なお、ウィンブルドンの観戦チケットは他の4大大会と比較しても圧倒的に確保することが難しいことでも有名です。
チケットの入手方法に関しては別記事で紹介していますので、観戦を検討されている方はそちらもご確認ください。
-
【ウィンブルドン2021】観戦チケットの買い方を解説(オススメ購入方法紹介)
この記事を読むことでわかること ウィンブルドン観戦チケットを購入する方全方法 それぞれの購入方法のメリット・デメリット比較 ウィンブルドンのチケットを入手するのがいかに難しいか &nbs ...
続きを見る
全米オープン
シーズン最後のグランドスラム
全米オープンは8月末から9月にかけてアメリカニューヨークでシーズン最後の四大大会として開催されます。この時期のニューヨークはまだまだ暑く、全豪ほどではありませんが暑さとの戦いになることも多く見られます。
It's a show time !
特徴は、世界最大の収容人数を誇るセンターコートであるアーサー・アッシュスタジアム。収容人数は2万人以上とテニス専用スタジアムでは世界最大の規模となっています。観客動員数も四大大会の中で例年最多となっており、賞金総額も最も高い大会となっています。また、アメリカ人が好みそうな派手な演出もこの大会の大きな特徴であり、現地で観戦すると試合というよりも一つのショーのような感覚になります。
オールラウンドなハードコート
全米オープンのサーフェスはハードコートですが、全豪オープンやその他のハードコートと比較すると少し球足が早めの設計になっています。若干攻撃型の選手が有利ではありますが、オールラウンドなプレーが求められ誰が優勝するのか予想しづらい大会であると言えます。ここ15年の間でもBIG4以外にデルポトロ、チリッチ、ワウリンカが優勝しており、連覇はフェデラーのみと誰が優勝するのか予想が難しい状況です。
全米オープンの特徴
- 8月~9月にかけて、アメリカニューヨークで開催される
- 球足の速いハードコートでの大会で、暑さと戦ワなければならない
- 観客動員数が最も多く、賞金総額が最も高い大会
- 有利、不利の差が出にくく、誰が優勝するのか予想が難しい
なお、全米オープンを実際に観戦した際の内容も記事にしていますので、詳細を知りたい方はそちらも御覧ください。
-
【テニス】全米オープンテニス観戦記(USオープンブログ)
この記事を読んでわかること 全米オープンテニスを観戦したときの雰囲気 全米オープンを観戦するときに注意するべきこと 今回は、テニスの四大大会の一つである全米オープンテニス(US OPEN)を観戦した体 ...
続きを見る
まとめ
テニスの四大大会は大会グレードとしては同じ扱いですが、それぞれに大きな特徴があります。それを把握するだけでも面白くなると思いますよ。
また、実際に現地に観戦に行ってみるとより大会のカラーの違いを感じ取ることができます。ぜひ一度試合を見に行ってみてください。
4大大会(グランドスラム)をテレビで見たい方は以下の記事も合わせてご確認ください。
-
【テニス】錦織圭・大坂なおみの試合をテレビで見る方法比較(テレビ放送一覧)
この記事を読んでわかること テニスの試合を放送しているチャンネル一覧 どのチャンネルでどの試合を放送しているのか 各チャンネルの特徴、メリット、デメリットの比較一覧 最近で ...
続きを見る
また、4大大会のチケット購入方法については別記事でまとめていますので以下の記事をご覧ください。
-
【テニス】四大大会(グランドスラム)の観戦チケット購入方法を解説
今回は、テニスの4大大会のチケットの取り方を解説します。各大会別の購入方法を既に個別に掲載していますので、この記事はそのまとめ記事となります。 初心者の方が日本にいながらチケットを予約するのは、少し苦 ...
続きを見る