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【テニス】BIG4(ビッグ4)の強さの秘訣とは(特徴を解説)

10月 24, 2019

今回は男子テニス界に君臨し続ける「BIG4」について紹介します。

現在の男子テニス界はこのBIG4を中心に回っており、全選手にとって大きな壁として常に立ちはだかっています。BIG4が成し遂げた数々の記録とともに、いまだに活躍し続けるBIG4がなぜここまで圧倒的に強いのかを考察してみましょう。

画像提供:ゲッティイメージズ

 

BIG4とは

BIG4とは具体的にはフェデラー・ナダル・ジョコビッチ・マレーの4選手を指します。簡単に彼らのプロフィールを紹介します。

ロジャー・フェデラー

出典 blogimg.goo.ne.jp

選手情報

  • 1981年8月8日生まれ。スイス出身。右利き、片手バックハンド。
  • 主な成績:全豪優勝6回、全仏優勝1回、ウィンブルドン優勝8回、全米優勝5回

展開の早い攻撃的なプレーが主体のオールラウンドプレーヤー。特にそのプレースタイルと相性の良い芝のコートでは無類の強さを発揮し「芝の王者」の異名をもつ。4人の中でも最も年齢が高く、他の3人が台頭するまでは無敵の存在としてTOPに君臨し続けた絶対的王者。グランドスラム最多優勝など多数の記録を持ち、歴代のレジェンドと比較してもNo.1といわれるほどの名選手である。生涯グランドスラムを達成済み

 

ラファエル・ナダル

出典 img.news.goo.ne.jp

選手情報

  • 1986年6月3日生まれ。スペイン出身。左利き、両手バックハンド。
  • 主な成績:全豪優勝1回、全仏優勝12回、ウィンブルドン優勝2回、全米優勝4回

スピン量の多いストロークで、コートカバー力に優れたグランドストローカー。クレーコーターの代表格的な存在の選手であり、全仏最多優勝回数(12回;2019年現在)やクレーコート81連勝などの記録を持つクレーコートで無敵の存在。デビュー当時はクレーコートのみでの活躍が目立ったが、その後攻撃的なプレーやサーブ&ボレーを含むネットプレーにも磨きがかかり、他のサーフェスでもタイトルを獲得している。生涯グランドスラムを達成済み

 

ノバク・ジョコビッチ

出典 konowadaigasukida.blog.so-net.ne.jp

選手情報

  • 1987年5月22日生まれ。セルビア出身。右利き、両手バックハンド。
  • 主な成績:全豪優勝8回、全仏優勝1回、ウィンブルドン優勝5回、全米優勝3回

精密機械と称されるほどの正確無比なストロークを武器としたグランドストローカー。ハードコートを最も得意とするが、それ以外のコートでも安定した戦績を残しており常に優勝候補に挙げられる。2011年にアレルギーが発覚し、グルテンフリーの食事療法を取り入れることで覚醒。一気にトップへと昇り詰める。その後は常に安定した戦績を残し続け、対BIG4同志の戦績も現状では最も良い生涯グランドスラム達成済み。歴代唯一ゴールデンマスターズを達成済み。

 

アンディ・マレー

出典 news.tennis365.net

選手情報

  • 1987年5月15日生まれ。イギリス出身。右利き、両手バックハンド。
  • 主な成績:ウィンブルドン優勝2回、全米優勝1回

強力なサーブやストロークを武器とするオールラウンダー。長い手足を生かしたカウンターが得意で、守備から攻撃への切り替えが早い。長らく他の3人の陰に隠れ4番手の位置にいたが、2016年に初の世界ランキング1位を獲得。2013年には地元イギリス選手として77年ぶりのウィンブルドン優勝を果たす。また、2012年のロンドン五輪・2016年のリオ五輪で金メダルを獲得し、男子シングルスで史上初の連覇を達成。

 

 

BIG4に関してさらにマニアックな情報を知りたい方はこちらの記事で紹介していますので、ご覧ください。

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BIG4の凄すぎる戦績

BIG4が注目される理由はその戦績にあります。彼らが独占する記録は数えきれないほどありますが、代表的なものをピックアップします。

4大大会をほとんど独占

テニスツアーにおける最も重要な4大大会のタイトルをほとんど独占しており、2005年~2019年の15年間・60大会のうち54大会でBIG4の誰かが優勝しています。かつ60大会中、58大会で誰かが決勝に進出しています。さらに60大会中32大会はBIG4同士の決勝戦となっています。圧倒的ですね。

BIG4以外で優勝したのはワウリンカ(3勝)、デルポトロ(1勝)、チリッチ(1勝)、サフィン(1勝)です。ウィンブルドンは2003年以降BIG4がすべて優勝しています。

歴代優勝者一覧(2005年~2019年)

全豪オープン 全仏オープン ウィンブルドン 全米オープン
2005年 サフィン ナダル フェデラー フェデラー
2006年 フェデラー ナダル フェデラー フェデラー
2007年 フェデラー ナダル フェデラー フェデラー
2008年 ジョコビッチ ナダル ナダル フェデラー
2009年 ナダル フェデラー フェデラー デルポトロ
2010年 フェデラー ナダル ナダル ナダル
2011年 ジョコビッチ ナダル ジョコビッチ ジョコビッチ
2012年 ジョコビッチ ナダル フェデラー マレー
2013年 ジョコビッチ ナダル マレー ナダル
2014年 ワウリンカ ナダル ジョコビッチ チリッチ
2015年 ジョコビッチ ワウリンカ ジョコビッチ ジョコビッチ
2016年 ジョコビッチ ジョコビッチ マレー ワウリンカ
2017年 フェデラー ナダル フェデラー ナダル
2018年 フェデラー ナダル ジョコビッチ ジョコビッチ
2019年 ジョコビッチ ナダル ジョコビッチ ナダル

なお、フェデラー・ナダル・ジョコビッチは現在4大大会の優勝回数で歴代1~3位に位置しており、どこまで記録を伸ばすか、誰が歴代1位となるのかに今後も注目が集まるでしょう。

4大大会に関しては別記事に詳しい解説がありますので、4大大会について知りたい方はそちらもご確認ください。

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世界ランキング上位を独占

世界ランキングは2004年の2月にフェデラーが1位になって以降、1位の座を在まで16年間・800週以上ずっとBIG4が独占しています。また、2位のポジションも2005年7月以降BIG4が独占し続けており、それ以外の選手は誰も踏み込めていない領域となっています。

そのため、世界ランキング1位在籍期間も2019年時点で、フェデラーが歴代1位の310週を記録しており、ジョコビッチが歴代5位、ナダルが歴代6位に位置しています。このまま行くと歴代TOP3も独占する可能性があります。マレーは現在41週で歴代14位につけています。

世界ランキング1位在籍期間 歴代ランキング

順位 選手名 在籍期間 備考
1位 ロジャー・フェデラー 310週 現役
2位 ピート・サンプラス 286週
3位 イワン・レンドル 270週
4位 ジミー・コナーズ 268週
5位 ノバク・ジョコビッチ 260週 現役
6位 ラファエル・ナダル 196週 現役
7位 ジョン・マッケンロー 170週
8位 ビヨン・ボルグ 106週
9位 アンドレ・アガシ 101週
10位 レイトン・ヒューイット 80週

 

賞金総額ランキングを独占

賞金ランキングもBIG4が独占し、なんと歴代の1~4位も独占している状況です特に近年、テニスの人気が世界中で高まっていることもあり、各大会の賞金総額もここ10年で倍程度に増額されるなどの影響もあってBIG4たちはとてつもない額を稼いでいるのです。

ちなみに彼らの収入は他にもスポンサー契約やメディア出演など多岐に渡っていますので、実際の収入は賞金総額の5~10倍とも言われています。

 

その他にも記録がたくさん

BIG4が現状で成し遂げているその他の記録を以下に列挙します。凄すぎますね。(参考:Wikipedia)

  • ATPツアーファイナルを15年間で11回優勝
  • ATPマスターズ1000を現行制度となった2009年以降72大会中62大会で優勝
  • ATPマスターズ1000優勝回数で歴代TOP3を独占(ジョコビッチ・ナダル・フェデラー)
  • 2011年、2013年、2015年はATPマスターズ1000の9大会すべて優勝
  • 2011年、2013年は4大大会、ATPマスターズ1000、ATPツアーファイナルをすべて優勝
  • 全員デビスカップでの優勝経験あり
  • ATP最優秀選手賞を2004年以降独占して受賞

 

BIG4がなぜ強いのか

BIG4がなぜここまで圧倒的に強いのか、その強さの秘訣を少し紹介します。あくまで個人的意見にはなりますが、15年ほどテニスを見ていて圧倒的にここが違うと感じるポイントをいくつか列挙しました。

 

重要なポイントでの強さが異常

BIG4はブレイクポイントなどの重要なポイントにおいて、圧倒的に勝負強くなります。サーブ側の際にはファーストサーブの入る確率・威力・コースなどの質が格段に上がっています。逆にリターン側の場合はかなりの高確率で返球してきます。

ラリー戦に持ち込んだ場合でも、それまでは出ていた無駄なミスがほとんどなくなり、かつ自分の得意な展開に持っていく場面が多くなります。

これらは色々な要因が考えられますが、一つには集中力のUPが挙げられます。詳しくは別記事に記載していますのでそちらをご確認ください。

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試合を見ていると明らかにギアが一段上がっている様子が、特にBIG4には顕著に表れると思います。このあたりが他の選手との大きな差ではないでしょうか。

 

ディフェンス力が高い

4人共ディフェンス力が高く、コートの端までどこまでも追いかけてくる場面が多いのが印象的です。4人共30歳を超えたにも関わらず、この部分の徹底ぶりは凄いと思います。1球でも多く返すというテニスにおける基本を世界のTOPが最も忠実に実行しています。

また、パッシングショットやカウンターの精度が高いのも4人の特徴。不用意に前に出られないプレッシャーを常にかけ続けているように感じます。簡単にはポイントを奪われないという要素もBIG4の強さの秘訣ではないかと思います。

 

相手のメンタルを崩す攻撃力・防御力

BIG4と対戦すると、対戦相手がどうしようもないと感じるのか、スコアが一方的になることもよくあります。4人で少しタイプは異なりますが、フェデラーの場合は圧倒的な攻撃力や多彩な攻撃によって相手がなにもできずに終わってしまうという場面をよく見かけます。

逆にナダルやジョコビッチの場合は、序盤はテニスの内容でも競っていたにも関わらず中盤から終盤以降全くゲームが取れなくなるという展開になることがよく起こります。何をしても返されるイメージが残り、ポイントをどうやって取ればいいのかわからなくなっているような状態です。

これらはすべて、攻撃力や防御力高いことに加えて、それを試合中ずっと維持できる強さにあります。崩れるような隙が全く見られないため、メンタルを徐々に削られていく相手はやがてどこかで集中力が切れてしまい、それまでとはうって変わって一方的な展開になってしまうのだと思います。

 

BIG4というオーラ・プレッシャー

BIG4がこれまで残してきた数々の戦績やプレーも大きな武器となっています。

セットの終盤を迎えた際にBIG4は何か仕掛けて来るのではないかとプレッシャーを感じ、無理に攻めようとしたりして自滅する場面もよく見られます。特に若手の選手や大舞台での試合において顕著に見られることが多くあります。経験の差と表現することもできると思いますが、相手がBIG4だからというプレッシャーは常に感じざるを得ないと思います。

 

4人が同世代で活躍したこと

意外と気が付かない要因として、4人が同世代で活躍しお互いが切磋琢磨して成長し合ったことも大きいと思います。

誰か一人が1位を独占し続けていたらそこで成長は止まっていたでしょう。1位に上り詰めても常にいつ陥落するかわからない状態に置かれていたことが4人にとっては良い刺激だったのではないでしょうか。

プレーの面でもBIG4同士が対戦すると、スーパーショットが返ってくるのが当たり前のようなラリーを幾度となく経験しているので、それらの積み重ねによって他の選手のスーパーショットにも動じずに対応できたり流れを渡さない工夫ができるのだと思います。

 

BIG4が4注目される理由

BIG4は同世代に突出して強い選手が4人いるというのが大きなポイントです。この4人という数字は、トーナメント方式において準決勝進出の4人と同じ数です。これはつまり、ドローの仕組み上、BIG4以外の選手は確実に準々決勝までにBIG4と対戦しなければならないことを示しています(早期敗退しない限り)。

第5~8シードの選手においても、ベスト8までは自分よりも格下の選手としか対戦しないドローとなりますが、準々決勝・準決勝・決勝は3戦ともBIG4の誰かとの対戦になるわけで、大会の終盤で3回勝たなければ優勝できません。これがどれだけ難しいかは容易に創造できるでしょう。現状、同一大会でBIG4のうち3人に勝った選手は述べ2人しかいません。

BIG4によって準々決勝から大きな壁が作られるというのがポイントで、現状の男子ツアーはこの過酷な状況を乗り越えなければならないのです。錦織もこの準々決勝の壁に常に苦しめられ続けています。

 

まとめ

今回はテニス界を支配するBIG4について紹介しました。改めて確認してみるとBIG4の異常な強さがよくわかります。2017年よりマレーがケガの影響で戦線離脱しBIG4は崩れつつありますが、それでも他の3人はまだまだ大きな壁となってTOPに君臨し続けています。いつ誰がどうやってこの壁を壊すのか、今後の男子テニス界も目が離せないでしょう。

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